IR(統合型リゾート)開発のこれまで

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by 中林ひろし
19/05/2020
 
東京

日本でIR(統合型リゾート)の開発に着手するためには、他国と比較して多くの課題をクリアする必要があります。

その理由としては、始めてのIR開発に向けて0から事業者や自治体などを選定しなければならないこと、ギャンブルが禁止されてきたため新たにカジノに関する法律を定める必要があることが挙げられます。

2016年12月のカジノ法案(カジノ推進法)成立を始めとして、2018年7月に「IR整備法」が成立、それに続いて具体的なIR実施法の内容決定やギャンブル依存症対策の法案化が行われてきました。

現在は、開業のベースとなる基本方針の策定が政府によって行われるのを待っている段階です。完了次第、各自治体や事業者がIR区域整備計画の申請やコンセプトの提案を行い、いよいよ具体的な開発地や企業が決定されます。

当記事では、新型コロナウイルスによる影響を踏まえて、今後のIR開発はどうなっていくのか、また日本型IRはどのような特徴を持っているのかについて解説していきます。

 

新型コロナウイルスの悪影響は?

日本では新型コロナウイルスの蔓延防止として緊急事態宣言が発令されたことにより、観光や飲食を始めとした多くの業界で多大な経済的ダメージが発生しています。

東京や一部首都圏を除いた地方ではそれほど感染者数が増えなかったことから、政府は5月31日よりも前に特定地域を除いて緊急事態宣言を解除する方針であると発表しているため、経済活動の再開も近いうちに行われるかもしれません。

しかし、今回の新型コロナウイルスによるIR計画への悪影響は間違いなく出ていて、特にIR開発の有力候補地として挙げられている横浜や長崎、東京、大阪、愛知(名古屋)などは主要都市であるため今後もウイルスによって経済が停滞し続けます。

現時点での影響として、政府による基本方針の策定が本来2020年1月に行われる予定でしたが、未だ発表されていません。また、横浜市はIR実施法案と募集要項の公表を2ヶ月延長するとしています。

このような影響により、候補地や事業者の選定作業までのスケジュールが押してしまうと、全体としてのIR開発計画に遅れが生じてしまうため、政府としては今年2020年に予定通り施行することを望んでいるでしょう。

不動産業や輸送などのIR開発と関連が大きいセグメントがこれ以上痛手を追ってしまうと開発計画に大きな穴が出来てしまうので、1日でも早い新型コロナウイルスの終息と経済回復が望まれます。

 

今後の開発スケジュールはどうなる?

2021年後半〜2022年を目標に候補地や事業者の選定が行われる予定のため、次段階の政府による基本方針の策定が遅くとも今年の7月26日までに完了する必要があります。

問題なく基本方針の策定が行われた場合、各自治体や事業者(開発企業)がIR区域整備計画の申請や提案コンセプトの提案を行い、そちらを判断材料として3カ所の統合型リゾート開発地及び協力してくれる事業者を選定します。

大阪で開かれる2025年国際博覧会(万博)に合わせた完成を目指してIR開発計画を進行するには、絶対にスケジュールに遅延が生じてはいけないので、タイトなスケジュールの中、政府、及び関係団体の適切なアクションが行われることが必要です。

東京オリンピックが2021年に延期となったことによる影響がどう出るのか正式には発表されていませんが、開発スケジュールを変更しないのであれば対応が間に合わなくなる関係で東京が3ヶ所に選ばれる可能性は下がるのではないかとの考えもあるようです。

一部、ニュースや新聞ではIR開発の遅延は免れないとしていますが、実際にはどうなっていくのか、本当に2025年に間に合わせることは出来ないのか、今後の政府や各自治体の行動に注目して考えていく必要があるでしょう。

 

日本型IR(統合型リゾート)の特徴

日本でカジノリゾートの開発が行われるのは完全に初めてのことなので、独自文化が色濃い先進国として世界中からも注目されています。

日本の統合型リゾートには、カジノに限らず、ショッピングモールやレストラン、劇場、映画館、ホテルなどの娯楽施設に加えて、日本ならではの温泉(スパ)が入るのではないかと言われています。

現時点で参入を表明している企業を見ると、IR開発に携わる事業者は日本のセガサミーを除いては、ビッグ6と呼ばれる海外のカジノオペレーターが主力になる可能性が高いでしょう。開発に携わる事業者によって特色が出てくるため、事業者の選定が非常に重要となることが分かります。

政府は地方経済の活性化や雇用の創出、観光促進が目的で訪日外国人客を主要なターゲットとしているため、日本人に対してはカジノへの入場に1日6,000円、週3回、28日に10回までという制限を設定しています。

観光客、現地民、人種問わず、老若男女が楽しめるような日本独自の観光施設になってくれることを期待してこれからも日本のIR開発に注目していきましょう。

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