新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため、全国的に経済活動における自粛が続いています。その結果企業への打撃も大きく、収入が減った人の中にはいかにして生活を立て直すか考えざるを得ないというケースも少なくないでしょう。
その一方で、自宅待機やテレワークの導入により在宅時間が長くなった人のなかには、ゲームを始めるケースも多いようです。そこで今回は、新型コロナウィルスの影響によりゲーム業界がどのように変わっていくのかを考えてみましょう。
スマホゲーム市場のさらなる拡大が予測される
スマホゲーム市場は今や、家庭用ゲーム市場を主戦場としてきた任天堂やスクエアエニックスなども参入するなど、その規模を拡大させています。ただし新作ソフト開発のコストがコンシューマー機のものと変わらない状況となるなか、新規メーカーの参入が難しい状況となっています。
スマホゲーム市場はあらたな拡大フェーズへ移行するか?
しかし新型コロナウィルスの感染拡大を防止するための外出自粛が続き、これまでゲームに興味を持っていなかった人も手軽に始められるスマホゲームを始めるケースも増えると考えられます。
このようなユーザーにとっては、ゲームのヘビーユーザーが好むようなビッグタイトルに興味を示すとは限りません。むしろ手軽に楽しめるような、ライトなゲームが好まれることを考えると、開発費をかけずにゲームをリリースできる点で新規参入メーカーが増えることも予測できます。
あるいは個人で製作するスマホアプリには、アイデア次第でヒット作が出てくる可能性もあります。その意味ではスマホゲーム市場は新型コロナウィルスの終息後もあらたな拡大フェーズに突入するかもしれません。
スマホゲームでの収益確保が課題に
スマホゲームの需要が増えても、それが企業の収益につながるかどうかは別問題です。スマホゲームは基本的に無料でプレイできますが、有利にゲームを進めるためには課金が必要になります。
しかし新型コロナウィルスの感染拡大による影響で、収入が減少している人も多くいるような状況でスマホゲームに課金する人の割合が増えることは考えにくいでしょう。そこで、スマホゲームを提供する企業がどのように収益を確保するのかが気になるところです。
家庭用ゲーム業界はどう変わるのか
任天堂のSwitchが品薄になっていますが、家庭用ゲームのユーザーも新型コロナウィルスの影響により増えています。
ただし家庭用ゲームにおけるユーザーの増加は、新型コロナウィルスの感染拡大を防止するための外出自粛の影響によるもので、これが将来的に続くものかどうかは不確定と言えます。さらに新型コロナウィルスの終息がまだまだ先であるとすれば、収入の減少によりまず出費を抑えるのはゲームなどの娯楽費用と考えられます。
調査会社の調べによると、新型コロナウィルスの感染拡大の影響により16%の派遣社員が失業しているそうです(ディップ株式会社調べより)。さらに休業あるいはシフトの減少が4割ほど、シフトが減った人のうち8割は給与が減ったとしています。
新型コロナウィルスの影響が長引くようであれば、家庭用ゲーム市場は縮小に向かう可能性もあります。
また家庭用ゲームソフトを開発しているマイクロソフトやセガサミーホールディングスなども、新型コロナウィルスの影響でゲーム開発や運営が遅延していることを発表しました。ゲームソフトの提供が遅れれば、家庭用ゲーム業界の市場も縮小する可能性があります。
日本でのカジノ開業はどうなるのか
日本のゲーム業界に大きな影響を与えることが予想されるIR(統合型複合施設)におけるカジノ。カジノ法案の可決により日本でもカジノ解禁が現実のものとなりましたが、新型コロナウィルスの影響が懸念されています。
海外のIR施設(カジノを含む複合施設)は新型コロナウィルスの影響を受けて、大きな打撃を受けています。併設することホテルの稼働率が下がり、カジノも休業状態にあるからです。
その結果、日本のIR開業に向けて参入を表明していた海外企業も計画の見直しを検討せざるを得ないようです。たとえば大阪府でのIR開業に向けて参入を表明していたMGMは、参入の延期を要請したと報道されました。
IR施設は施設の維持費や人件費として相当の固定費がかかります。新型コロナウィルスの影響で閉鎖している施設の運営会社は、経営状況の悪化が顕著です。
海外のIR施設運営企業は日本のIR開発にも投資をする予定となっています。そのため、経営が苦しい海外のIR施設運営企業による投資は難しくなり、日本におけるIR施設の建設費調達にも影響が出ると見られています。
まとめ
新型コロナウィルスの感染拡大防止のための外出自粛は、日本のゲーム業界にとっては追い風と言えます。家にこもってゲームをする人が増えているからです。しかし経済活動の自粛に伴い収入が減少しているなかで、どれほどゲーム需要が延びるかが疑問であるとも言えます。新型コロナウィルスの終息にどれほどかかるのかによって、日本のゲーム業界は市場を拡大させ続けるのか、あるいは縮小に向かうのかが決まると言ってもよいでしょう。